ここ数年、新型うつ病という名前をあちこちで見かけるようになってきました。この新型うつ病(「現代型うつ病」あるいは「うつ病もどき」と書かれていることもあります)とは一体どんなものでしょうか。
もちろん学会において正式に認められた病名ではなく、おそらくはマスコミを中心に名前が独り歩きしたのではないかと推測されるのですが・・・。

 雑誌(週刊誌)やネットをみていくと、この新型うつ病とは従来のうつ病とはかなり異なるもののようです。従来からいわれているうつ病とは、もともと几帳面でまじめな性格(周りの人にも大変気をつかう)の方に、抑うつ気分、悲哀感があらわれてきて、それでも仕事への責任感から無理に出勤し、さらに自分を追い詰めていく、自分を責める傾向が強く、日内変動(午前中のほうが調子悪いことが多い)がみられる。食欲、性欲も低下、不眠(熟眠感の欠如、早朝覚醒)を伴うことが多い。一方新型うつ病の方は、容易に対人関係において傷つき(挫折経験に乏しく社会人になってから上司に注意されると驚き傷つく)出勤できなくなり。ひきこもり的な生活になってしまう、会社には適応しがたいものの自分の趣味には没頭できる、なんとなく漠然と倦怠感、不調感を訴え、社会生活、日常生活に支障が生じているなどのケースが含まれているようです。いずれにしても社会生活には大きな問題が生じているようで、ある種の不適応といって差支えないかもしれません。
 従来のうつ病では生活指導による休養の取り方と薬物療法で改善することが多いのですが、新型うつ病ではこの方法は期待できそうもなくかえって状況を悪化させることもあるそうです。どちらかというと行動療法やソシアルスキルトレーニングらのほうが効果を示すケースもあるでしょう。また休職にまで至っている場合はリワークに特化したデイケア(リワークデイケア)の利用も考えていいと思います。
 どこまでが病気としてとらえていいのか疑問も残りますが本人にとっての社会生活における影響は大きいため一度心療内科、精神科に相談してみてはいかがでしょうか。

新型うつ病の特徴
 20-30代の若手社員に多い
 傷つきやすく挫折しやすい
 会社では不調だが、休日は元気
 薬物療法の効果が期待しにくい